インソールのすすめ

運動

はじめに

突然ですが、あなたはこれまでの人生の中で靴に入れるインソール(または足底板や中敷き)を購入したことがありますか。

マイボイスコム株式会社が11,607名に行ったインターネット調査では「ここ2~3年で何らかの足の悩み・トラブルがあった人」は男性5割強、女性8割強という結果となっています。

このアンケート調査からも多くの方が足に悩みを抱えていることがわかります。そのため、あなたやあなたの身の周りの方がインソールを購入したことがある、またはこれからインソールの購入を検討しているという方は多いと思います。

しかし現代では、オンラインショップ・靴屋・百円ショップなどで様々な種類のインソールが売られており、何を購入すればいいかの判断が難しいといえます。

今回のコラムでは買ってはいけないインソールの特徴とその理由を説明させて頂きます。コラムを読み終えた後はあなた自身でインソールの良し悪しをある程度判断できるようになります。ぜひ最後まで読んで頂いてインソール選びの参考にしていただければ幸いです。

買ってはいけないインソールの特徴

インソールは足をより良い状態に維持して、足のトラブルの改善やパフォーマンスの向上を目的に使用されます。しかし、物によっては効果は期待できないどころか足に悪影響を及ぼしてしまうこともあります。

結論から申し上げます。買ってはいけないインソールの特徴は柔らかいインソールです。

柔らかいインソールは履いていて足の裏が心地よい、低反発で足にかかる負担が少ないという理由で実際に購入されている方は多いと思います。私自身も理学療法士になる前はそういった商品の謳い文句を信じて購入したことがあります。しかし、医学的側面で考えると柔らかいインソールは身体にとって良くありません。

なぜ柔らかいインソールを買ってはいけないのかということを説明する前に、足のトラブルについて考えていきたいと思います。

インソールを購入する上での大前提の話

ホワイトレーベル株式会社が過去にご自身で靴を購入したことのある20歳から75歳までの男女1,000人に対して「足の悩みおよび靴に関する意識調査」のアンケートを実施した結果では足の悩みランキングは以下の通りになっています。

  • 1位:足が疲れやすい / 19.6%
  • 2位:靴づれ / 17.3%
  • 3位:外反母趾 / 11.1%
  • 4位:扁平足 / 7%
  • 5位:左右のサイズ違い / 6.3%

そして、上記のような問題に対して、「どのような方法でトラブルを解決したいですか?」というアンケートに対しては

  • 1位:新しい靴を購入する / 32.9%
  • 2位:履いてダメだった靴を2度と履かない / 25.0%
  • 3位:インソールを購入する / 22.2%

この結果から、多くの方がご自身の足に合った靴を見つけられずに困っているということがわかります。足の悩みの2位に上がっている靴ずれは適切な靴を選べていないことによって生じるケースが多いです。また、インソールは靴に入れるものなので適切な靴を選ぶことはインソールを購入する上で大前提となってきます。過去のコラムで靴選びについて解説したものがありますので、靴選びに関してはぜひ下記のコラムを参考にしてください。

足の悩みの原因

リビングくらしHOW研究所が平均年齢44歳の女性1,572名に「靴と足の悩みについて」のアンケート調査を行った結果では、ホワイトレーベル株式会社が行った上記のランキングの結果に加えて

  • 脚のむくみや冷え

という項目がランキングの上位に挙がっていました。ホワイトレーベル株式会社とリビングくらしHOW研究所のアンケート結果をまとめると足の疲れ・外反母趾・扁平足・むくみが足の悩みとして多いのですが、実はこれらの足の悩みは共通の原因が関与しています。

その原因は足の構造の破綻です。足は踵〜爪先の方へかかる縦アーチと母趾〜小趾の方へかかる横アーチがあります。

一見、足は塊のように思えますが、実は片足で28個の骨が複雑に組み合わさってできています。

足は体重をきちんと支え、動作を遂行するために構造的に安定している必要があります。しかし、骨組みのバランスが崩れるとアーチ構造が崩れ、足は過剰に柔らかくなり構造的に不安定になります。足のアーチ構造が崩れる要因は、足に負担がかかる靴を履いている、立ち姿勢や歩き方に悪いクセがある、捻挫の経験がある、加齢による筋肉や靱帯の衰え、遺伝的に骨格が弱いなどがあります。様々な要因がありますが、結果として本来の足の構造が崩れ過剰に足が柔らかくなってしまうことが足のトラブルの原因となります。

踵に対して足趾の付け根(前足部)を捻ったときに前足部の捻れの角度が6度以上ある場合は足が過剰に柔らかい状態といえます。写真のように足を捻ってみてご自身足の柔軟性を確認してみてください。

柔らかい足が招く様々な問題

柔らかい足は

  • 扁平足
  • 外反母趾
  • 非効率な歩行
  • むくみ

の4つの問題の原因となります。それぞれ解説していきたいと思います。

足が過剰に柔らかくなると、アーチ構造が崩れ、多くの場合は扁平足を呈します。アーチ構造の破綻は足趾の配列まで影響を及ぼし外反母趾に繋がる恐れがあります。

次にこの構造的な安定が歩行にどのように関与するのかを説明します。足が構造的に安定しているため歩行時に足趾まできちんと体重を乗せることができます。この際にふくらはぎの筋肉が働くことで踵が上がり、効率良く前方へ進むことができます。しかし、足が柔らかくなり構造的に不安定になると、ふくらはぎの筋肉に力が入らずにストレッチされてしまいます。そうすると地面を蹴れないため前方へ進みづらくなってしまいます。同じ距離を歩いたとしても効率的な歩行をする人と非効率な歩行をする人では後者の方が疲れやすくなってしまいます。

続いてむくみについてです。足が構造的に安定していると効率的な歩行が可能であり、効率的な歩行ではふくらはぎの筋肉が働くと説明しました。ふくらはぎは第二の心臓とも呼ばれており、その名の通り身体の中の液体(血液やリンパ液など)を足から心臓へ送る働きをしています。そのため、ふくらはぎの筋肉がきちんと働いていれば足はほとんどむくみません。逆に柔らかい足が招く非効率な歩行はふくらはぎの筋肉が働かないため、足にむくみが生じやすくなってしまします。

以上のことから足が過剰に柔らかくなってしまうことが様々な足のトラブルの関与していることがご理解頂けたでしょうか。

買ってはいけないインソールとその理由

上記のように足を良い状態に保ち、足の問題を解決していくためには過剰に柔らかくなって構造的に不安定になってしまった足を安定させる必要があります。その解決策の一つとしてインソールを使うとしたら、体重をかけた際にアーチ構造保持できて、インソール自体も潰れないくらい丈夫な必要があります。潰れてしまうような柔らかいインソールでは全く意味を成しません。また補足で説明すると、扁平足を修正するように土踏まずを過剰に盛り上げたインソールも買ってはいけないインソールです。なぜなら、土踏まずの部分(下の写真の赤丸の空間)には神経がたくさん走行しています。土踏まずを過剰に持ち上げると神経を圧迫する(下の写真の青い矢印)ことになります。結果として足底に痛みや痺れを生じさせる原因となります。以上のことを踏まえて以下にインソールを購入する上でのアクションプランを説明します。

アクションプラン

①柔らかいインソールを選ばない

購入前にインソールの上に乗り体重をかけた際にインソールが潰れないか確かめてみましょう。オンラインショップでは確かめることができないため、オンラインショップで購入する場合は一度店舗で実物を確かめた上で購入することをお勧めします。また、硬くてアーチ構造を支えられるインソールは残念ながら百円ショップには売っていません。そのため、百円ショップでは購入しない方がいいということです。

②土踏まずを過剰に持ち上げるインソールを選ばない

硬いインソールを選んでも、そのインソールが土踏まずを過剰に持ち上げるような構造をしていれば上記で説明したように足底で神経を圧迫してしまいます。これも①と同様に店舗で購入前にインソールの上に乗り、土踏まずへの突き上げ感が強くないかを確かめて下さい。足ツボマッサージのように土踏まずを押されてるものは気持良く感じるかもしれませんが選ばないようにしましょう。

①、②を満たしたインソールを購入することがインソールを選択する際のポイントとなります。また、店舗によってはシューフィッターといい「足に関する基礎知識と靴合わせの技能を習得し、足の疾病予防の観点から正しく合った靴を提案する専門家」がいる場合があります。シューフィッターがいる店舗を探して、シューフィッターに靴及びインソールのことを相談した上で購入する方法もお勧めします。

まとめ

  • 多くの方が足に悩みを抱えている
  • インソールを購入する前の大前提として適切な靴を選択する必要がある
  • 足の悩みの原因の一つとしてアーチ構造の破綻がある
  • アーチ構造が崩れるような柔らかい足は扁平足・外反母趾・非効率な歩行(疲れやすい歩行)・むくみを招く可能性がある
  • 土踏まずには神経が走行しており、土踏まずを過剰に持ち上げると神経が圧迫される
  • インソールを購入する際は柔らかくて、土踏まずを過剰に持ち上げるような形状のものは買わないようにする
  • 可能であればシューフィッターがいる店舗でアドバイスをもらいながら実物の上に乗って硬さを確かめた上でインソールを購入した方がいい

インソールを購入する際は今回のコラムを参考にして頂ければ幸いです。また、今回紹介した内容以外にも買ってはいけないインソールの特徴はいくつかあります。全ての内容を一つのコラムで記載することは難しいため、足の悩み相談をしたい方はお問い合わせの方からご連絡ください。今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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